学習塾・スポーツクラブは日本版DBSの対象?5つの要件を行政書士が解説

Uncategorized

「うちの学習塾も日本版DBSの対象になるの?」

「スポーツクラブやサッカースクールはどうなの?」

「こども向けの教室をやっているけれど、認定を受けなければいけないの?」

2026年12月25日から施行される「こども性暴力防止法」では、学校や認可保育所などだけでなく、一定の要件を満たす学習塾・スポーツクラブ・ダンススクール・フリースクールなどの民間事業者も認定制度の対象となります。

ただし、重要なのは、「学習塾だから」「スポーツクラブだから」という名称だけで自動的に対象になるわけではないということです。

法律上の「民間教育事業」に該当するためには、一定の要件をすべて満たす必要があります。

この記事では、こども家庭庁が公表している最新の資料をもとに、学習塾・スポーツクラブなどが日本版DBSの認定対象となる条件について、具体例を交えながら分かりやすく解説します。

立川市・八王子市をはじめ、多摩地域・西多摩地域で学習塾、スポーツ教室、各種スクールなどを運営されている事業者の方は、ぜひ自社の事業と照らし合わせてみてください。

この記事の目次

結論:学習塾・スポーツクラブは対象になる場合があります

まず結論からいうと、学習塾やスポーツクラブは、日本版DBSの認定対象となる可能性があります。

こども性暴力防止法では、学校教育法や児童福祉法などで明確に定義されていない事業についても、一定の要件を満たすものを「民間教育事業」として認定対象としています。

こども家庭庁の施行ガイドラインでは、民間教育事業の例として、

  • 学習塾
  • スポーツクラブ
  • ダンススクール
  • フリースクール
  • その他のこども向けの教育・文化・スポーツ等の事業

などが挙げられています。

ただし、「学習塾」「スポーツクラブ」という名前だけでは判断できません。

法律上の「民間教育事業」に該当するためには、5つの要件をすべて満たす必要があります。

つまり、

「学習塾だから対象」
「スポーツクラブだから対象」

という単純な話ではありません。

実際の事業の内容や運営方法を確認することが重要です。

民間教育事業の5つの要件

こども家庭庁によると、学習塾やスポーツクラブなどが「民間教育事業」に該当するためには、次の5つの要件をすべて満たす必要があります。

要件 内容
① こどもに対して技芸又は知識の教授を行う事業
② 標準的な修業期間が6か月以上
③ 対面による指導を行う
④ 事業者が用意する場所で指導を行う
⑤ 技芸又は知識の教授を行う者が3人以上
5つすべてを満たすことがポイントです。

例えば、こども向けの教室であっても、指導者が1人しかいない場合や、事業の標準的な修業期間が6か月未満の場合などは、民間教育事業の要件を満たさない可能性があります。

要件① こどもに技芸・知識を教える事業

1つ目は、児童等に対して技芸又は知識の教授を行う事業であることです。

簡単にいえば、こどもに何らかの技能や知識を教える事業であることが必要です。

例えば、

  • 学習塾で国語・数学・英語などを教える
  • 英会話教室で英語を教える
  • サッカースクールでサッカーを指導する
  • 水泳教室で水泳を指導する
  • ダンススクールでダンスを指導する
  • 音楽教室で楽器や歌を指導する

などが考えられます。

「こども向け」であることも重要です。

大人とこどもの両方を対象としている事業は対象になり得ますが、基本的には大人向けの事業で、例外的にこどもが参加しているだけという場合は、この要件を満たしません。

そのため、例えば「大人向けのフィットネスクラブに、たまたまこどもが参加することがある」というだけでは、民間教育事業に該当するとは限りません。

要件② 標準的な修業期間が6か月以上

2つ目は、技芸又は知識を習得するための標準的な修業期間が6か月以上であることです。

ここで注意したいのは、単純に「事業者が6か月以上営業している」という意味ではないことです。

こども家庭庁のQ&Aでは、具体的に、

  • 6か月以上の期間にわたって事業を実施している
  • その期間に複数回、技芸又は知識の教授を行っている
  • その期間中、同じこどもが複数回参加できる

ことが必要とされています。

例えば、年間を通じて毎週授業を行う学習塾であれば、この要件を満たすことが考えられます。

一方、数日間だけ開催される短期講座や、単発イベントなどは、この要件を満たさない可能性があります。

要件③ 対面による指導を行う

3つ目は、こどもに対して対面による指導を行うものであることです。

例えば、

  • 教室で講師が直接授業を行う
  • スポーツ施設でコーチが直接指導する
  • ダンススタジオで講師が直接指導する

といった事業が典型的です。

一方、完全にオンライン上だけで完結する教育サービスについては、この要件との関係を確認する必要があります。

オンライン授業を行っているから直ちに対象外、という意味ではありません。

実際の事業内容や、対面による指導を行っているかどうかを確認する必要があります。

要件④ 事業者が用意する場所で指導する

4つ目は、事業者が当該事業を行うために用意する場所で指導を行うことです。

学習塾であれば教室、スポーツクラブであれば施設やグラウンド、ダンススクールであればスタジオなどが典型的な例です。

ポイントは、事業者が事業のために用意・指定した場所で指導を行うことです。

そのため、家庭教師のようにこどもの自宅を基本的な指導場所とする事業については、この要件との関係を個別に確認する必要があります。

場所については、事業の実態を確認することが大切です。

「教室があるかどうか」だけでなく、実際にどこでこどもに対する指導を行っているのかを確認しましょう。

要件⑤ 教授を行う者が3人以上

5つ目は、技芸又は知識の教授を行う者が3人以上いることです。

ここは学習塾や小規模なスクールを経営されている方にとって、特に重要なポイントです。

例えば、

  • 塾長1人だけで授業を行っている
  • 代表者とアルバイト講師1人の合計2人で指導している

といった事業の場合、人数要件を満たさない可能性があります。

一方、3人以上の講師・コーチ等が教授を行っている場合には、この要件を満たす可能性があります。

雇用形態だけで判断するものではありません。

こども家庭庁のQ&Aでは、教授を行う者について、派遣労働者やボランティアを含めることができるとされています。

学習塾・スポーツクラブの具体例

ここまでの5つの要件を、実際の事業に当てはめて考えてみましょう。

ケース1 小学生・中学生向けの学習塾

小学生・中学生を対象として、週2回の授業を年間を通して行っており、講師が4人いる学習塾。

→ 5つの要件を満たす可能性が高い事例

こどもを対象として知識を教授し、6か月以上継続し、対面で、事業者が用意した教室で授業を行い、講師も3人以上いるためです。

ケース2 個人経営の学習塾

代表者1人だけで、小学生を対象に週3回の授業を行っている学習塾。

→ 人数要件を満たさない可能性があります

こどもへの教育、6か月以上、対面指導、事業者が用意する場所という条件を満たしていたとしても、教授を行う者が3人以上という要件を満たさない場合があります。

ケース3 こども向けサッカースクール

小学生を対象として、週1回、年間を通してサッカー指導を行っており、コーチが5人いるスクール。

→ 民間教育事業に該当する可能性があります

スポーツの技術をこどもに教授する事業であり、その他の要件も満たしている場合には、認定対象となる可能性があります。

ケース4 単発のスポーツイベント

夏休みに3日間だけ開催するこども向けスポーツイベント。

→ 民間教育事業の要件を満たさない可能性があります

標準的な修業期間が6か月以上という要件との関係で、通常の民間教育事業には該当しない可能性があります。

対象にならない可能性があるケース

逆に、次のような事業は、民間教育事業の5要件との関係で、対象にならない可能性があります。

事業の例 確認ポイント
単発のこども向けイベント 6か月以上の修業期間との関係
完全オンラインの教室 対面指導の要件との関係
講師1人だけの個人教室 教授を行う者3人以上という要件
大人向けサービスにこどもが例外的に参加 こどもを対象とする事業かどうか
こどもの自宅だけで行う指導 事業者が用意する場所という要件との関係

ただし、これらも事業の実態によって判断が異なる場合があります。

「このケースなら絶対に対象外」と自己判断するのではなく、実際の事業内容を整理して確認することが重要です。

認定は義務?それとも任意?

ここも非常に重要なポイントです。

学習塾やスポーツクラブなどの「民間教育事業」は、法律上の義務対象事業者とは異なり、認定を受けるかどうかは任意です。

「対象になる」=「必ず認定を受けなければならない」ではありません。

ただし、認定を受けるためには、児童対象性暴力等を防止するための措置や、犯罪事実確認、情報管理など、法律で定められた基準に対応する必要があります。

認定を受けた事業者は、「こまもろうマーク」の認定事業者マークを表示することができます。

保護者から見ても、こどもの安全確保に取り組んでいる事業者であることを確認する一つの目印になります。

自社が対象か確認するチェックリスト

学習塾・スポーツクラブ・各種スクール等を運営されている方は、まず次の項目を確認してみてください。

□ こどもを対象とした事業ですか?

□ こどもに知識や技能を教えていますか?

□ 標準的な修業期間は6か月以上ですか?

□ その期間中、同じこどもが複数回参加できますか?

□ 対面で指導していますか?

□ 事業者が用意した場所で指導していますか?

□ 指導を行う者は3人以上いますか?

すべて「はい」であれば、民間教育事業に該当する可能性があります。

ただし、このチェックリストだけで法的な対象性が確定するものではありません。

最終的には、実際の事業内容や運営方法を踏まえて確認することが必要です。

日本版DBSについてご相談ください

日本版DBSは、単に「犯罪歴を確認する制度」ではありません。

認定を受ける場合には、対象となる従事者の確認だけでなく、児童対象性暴力等を防止するための体制整備、情報管理、従事者への研修や対応など、事業者側の準備も必要になります。

そのため、学習塾やスポーツクラブなどの事業者にとっては、

  • そもそも自社が認定対象なのか
  • 認定を受ける必要があるのか
  • 認定を受けるメリットは何か
  • どのような社内体制を整える必要があるのか
  • どの従業者が対象になるのか

といったところから整理することが大切です。

「うちの学習塾は日本版DBSの対象?」

「スポーツクラブでも認定を受けられる?」

「認定を受けるには何を準備すればいい?」

このような段階からでもご相談いただけます。

ひので行政書士事務所では、立川市・八王子市をはじめ、多摩地域・西多摩地域の事業者様を対象に、日本版DBS・こども性暴力防止法への対応についてご相談を承っています。

▲ 目次に戻る

まとめ

学習塾やスポーツクラブなどの民間事業者は、一定の要件を満たす場合、こども性暴力防止法上の「民間教育事業」として認定対象になります。

判断のポイントは、次の5つです。

① こどもに技芸・知識を教える事業である

② 標準的な修業期間が6か月以上である

③ 対面による指導を行う

④ 事業者が用意する場所で指導する

⑤ 教授を行う者が3人以上いる

この5つの要件をすべて満たすかどうかを確認することが、自社が認定対象となるかを判断する第一歩です。

また、認定対象事業者については、認定を受けること自体は任意です。

「対象になりそうだけれど、認定を受けるべきか分からない」という場合には、認定を受けることによるメリットや、必要となる準備まで含めて検討するとよいでしょう。

関連記事

  • 日本版DBSとは?こども性暴力防止法を行政書士がわかりやすく解説
  • 日本版DBSの対象事業者は?義務対象・認定対象を行政書士が解説
  • 日本版DBSの認定申請に必要なもの
  • 日本版DBSの児童対象性暴力等対処規程とは?
  • 日本版DBSと就業規則・社労士の関係
  • 日本版DBS対応を行政書士に依頼するメリット

参考資料

  • こども家庭庁「こども性暴力防止法」
  • こども家庭庁「こども性暴力防止法に関するQ&A」
  • こども家庭庁「こども性暴力防止法施行ガイドライン」

※本記事は2026年10月24日時点でこども家庭庁が公表している資料をもとに作成しています。制度の詳細や運用については、今後の法令・ガイドライン等の更新により変更される場合があります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました